色眼鏡レポート

虹彩がこうなんだから仕方ないとこある

ドライヤーで乾かすことができるものと、できないもの

 気づけばまた一年、美容師に会ってない気がする。

 

 美容師に施術されている時にする会話を、『人生で一番ためにならない』と言う人がいる。

私自身も、記憶に残っている美容師との話といえば、貸し出されたタブレットで競馬誌ギャロップを読んでいた時に反応されたことくらいだ。

そういえば、施術の定番、髪をドライヤーで乾かしている時。その時は自分の耳の熱耐久度との戦いに明け暮れているのと、熱風発するドライヤー氏の轟音で、会話は発生しない。

 

 では、自分で風呂上がり、髪を乾かしている時は。

耳の熱耐久を知り尽くしているために甘くなる乾かしと、古くなって威勢が弱くなったドライヤー音、そして、自分との対話が発生する。

 

 最近の自分は、金と時間、あと寿命のことを考えている。

今、これを打ち出している私は、転職することを考えている。が、転職できるような職場環境ではない現実を前に、甘い乾かしが更に甘くなっていた。

 というのも、五十坪程度の敷地のアパレルショップに、フルタイムスタッフが四人。そのうちの一人が昨日、流行りの濃厚接触者になり、先程、明日以降のシフトがまるっと変わったところなのだ。

もともと好きなブランドであるから、働く先として選んだが、人不足が解消されないことと、最近のブランドイメージへの理解が追い付かない現状。潮時なのではないか、と髪を乾かす私は考えていた。

大恩ある現店長とマネージャーに、辞める事を切り出す。その方法を考えれば考えるほど、熱風による外部からの熱だけではなく、知恵熱まで出るのではないか。すこし痛む頭に気づき、眉間を押さえる。

 

 明日からもまた、仕事の日々が続く。ついでに、バレンタインデーだ。感謝のチョコレートは用意した。私は、思いを伝えることはできるのだろうか。

 

乞うご期待......。