色眼鏡レポート

虹彩がこうなんだから仕方ないとこある

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

この手と鼓動が動くのか

休日をすりこぎ棒ですり潰すのが趣味だ。 夜。飲み終えたマグカップを、銀のシンクの谷底へ置くと、1日が終わる心地になる。使い古した我が家のシンクが、白色に照らされながら鈍く照り返すのを、目にも映さず背を向けた。 3月いっぱいで仕事をやめ、年間で…

ドライヤーで乾かすことができるものと、できないもの

気づけばまた一年、美容師に会ってない気がする。 美容師に施術されている時にする会話を、『人生で一番ためにならない』と言う人がいる。 私自身も、記憶に残っている美容師との話といえば、貸し出されたタブレットで競馬誌ギャロップを読んでいた時に反応…

創作強迫観念

何も生み出さず受け取るだけ、に苦しむのは、なんと愚かなことか。 小説を綴る機能が備わったタイプの人間なのだが、生来の気分屋気質と、凝り固まったこだわりによって、油を指しても動かないものになっている。そう、私は創作物を、生み出すことができるも…

ほしい遺伝子、ほしい人

疑うべきは自分。その本能だ。 おそらくの話だ。私の家系、それも牝系は、パートナーを選ぶ目がない。 家人こと我が母は、ひそかに金を借り、苦し紛れの嘘をつき、果ては所属していた職場の契約金を無くしてクビになり、あの世へ逝った。 母の妹は、精神が弱…

手を繋げるか、YESかNO

感覚を知覚するのに優秀すぎる。 手を繋ぐ、という行為と縁がない。 そのためか、他人の手の感触にすこし恐れのようなものを抱いている。 いつか、抵抗がなくなって、その恐れが拭われるのか。 それが例えばパートナーなら、その手の温度に心ときめくのだろ…

500年程度生きるコツ

背を、丸めて丸めて、ぎゅっと目を瞑る。 目には見えない心には、人の赤子程度の大きさの穴が空いている。自分の身を抱き締めて、どうしようもないほどぽかりと空いた穴の、大きさを確かめてみる。ちょうど、愛用のブタさん型ぬいぐるみをすぽりと納められる…